腹黒王子の取扱説明書
「え?」

「いいから、目閉じる。余計なものが見えるから気になるんだよ。病人は寝てなさい」

病院の先生のような口調で言われ、仕方なく目を閉じる。

これ以上しゃべると、今度は長々とお説教されそうだ。

でも、こんな状況で寝れるわけない。

だって、ざわめきが聞こえるし、きっと通る人がみんな私達の方を見て噂してる。

無理だよ、無理……。

気になってしかたがない。

私の事なんて放っておいてくれればいいのに。

専務じゃなきゃ、こんなにみんなの注目は浴びなかったはずだ。

文句を言いたいのを我慢してじっと目を閉じる。

「そうだ、それでいい」

専務の口調が心なしか優しい。

目を閉じてて彼の表情は見えないけど、彼が笑っているような気がした。
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