腹黒王子の取扱説明書
彼女たちの周りにいる若い男性社員も、彼女の様子をじっと見ていた。

だが、その事に気づいていない彼女はかなり鈍感なのか、それとも、そういう女をあえて演じているのか……。

そして、その夜、来日していたアメリカ支社時代の悪友のクリスに強引に誘われて渋々銀座のクラブに足を運べば、そこのホステスとして彼女がいた。

男を誘惑する小悪魔か。

その場を楽しむ分にはいいが、水商売の女には昔からいい印象が持てない。

俺の母親も水商売の女だった。だが、長谷部の家に馴染めず、よそに男が出来て、一千万親父からふんだくって俺を捨てて出て行ったらしい。

そんなに金が良いか?そんなに金が欲しいか?

俺は高い酒を頼んで、俺を警戒している中山麗奈を引き留めた。

母親と同じ水商売の女って言うだけで気にいらなかった。

めちゃくちゃにしてやろうと思った。
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