腹黒王子の取扱説明書
「もう少しこのまま……」

中山麗奈が俺にすがり付く。

俺の頭は混乱していた。

水商売の女なんてみんな同じだ。

金さえ手に入れば、平気で男と寝る。

なのに、なぜこの女はこんなに悲しそうに眠るのだろう?

この女は違うのか?

……わからない。

腕の中の彼女は、しっかり抱き締めていないと消えてしまうんじゃないかと思うくらい儚げだった。

いや……騙されるな。

俺は親父のようにはならない。

女なんて信用できない。

朝、彼女が目覚めると、俺は自分の迷いを断ち切るようにとことん彼女を蔑んだ。

俺の母親の分も傷つけばいい。

そう思った。

キスしてまさか反撃されるとは思わなかったが……。

彼女は俺を狂わせる。
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