腹黒王子の取扱説明書

千田部長がどこか落ち着かない様子で俺の顔色を窺う。

滑稽だな。

「いつから総務で電球交換をやるようになったんですか？ビルのメンテナンスの会社に委託してるはずですが。さっき、電球を交換していた総務の社員がその作業中に怪我をしました」

「それは……ご迷惑をおかけしました」

千田部長が俺に向かってペコペコ頭を下げる。

だが、俺はそんな彼の態度が気に食わなかった。

「自分の部下の怪我の状態は気になりませんか？その部下が誰なのかも」

俺は冷ややかな視線を千田部長に向ける。

「そ、それは……と、当然気になります」

嘘つけ！

俺は心の中で毒づく。

「僕が医務室に運んだので中山さんは大丈夫です。ですが、今日は彼女は体調が悪いようなので医務室でそのまま休ませています」

「それは良かった」

千田部長が作り笑いをする。

全然良くないんだよ。

「あなたは自分で電球の交換をしたことがありますか？」