腹黒王子の取扱説明書
「わかった。それはこっちで考えるよ」

俺は狼狽えずににっこり微笑んでみせる。

「麗奈を傷つけたら許さないわよ」

俺の普段の行いを知ってる杏子が俺に釘を刺す。

俺が女に本気にならない事を杏子は知っている。

過去に傷つけた女はいないが、俺は女が俺から離れるようにいつも仕向けていた。

自分のテリトリーには決して女を入れない。

杏子が出ていくと、今度は須崎が面白そうに俺をからかいだした。

「面白そうな展開だな。今夜の会食の予定キャンセルするか?」

「会話の流れでわかるよね?」

俺はキッと須崎を睨み付ける。

「おお、怖っ!その顔、杏子さんにも見せれば?お互いもっとわかりあえるんじゃねえ?」

「煩いよ。もっとお前の仕事増やそうか?」

俺は悪魔のように須崎に向かって微笑む。

「それは、勘弁。これ以上睡眠時間削りたくない。秘書もう一人雇えよ?俺だけじゃ動き辛い」

「確かに……お前に負担かかりすぎてるか」
< 66 / 309 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop