腹黒王子の取扱説明書
6、勘違いはしない ー 麗奈side
目を開けると、白衣の男性と目が合った。

「あっ、起きたか?」

白衣の男性がにっこり微笑む。

え~と、医務室の先生?

こんなに若かったっけ?

そう言えば専務に医務室に運ばれたような……。

辺りを見渡すが、彼の姿は見えない。

「ああ、長谷部なら戻ったよ」

私が誰を探しているのかわかったのか、先生がクスッと声を出して笑う。

ホッとしたような、ちょっと淋しいような……。

淋しい?

いや、ホッとしてるのよ。淋しいわけない。

あの人と会うと今朝の事を思い出して辛くなる。

専務の事を長谷部って呼び捨てにするって事は、個人的な知り合いなのだろうか。

「…な、ながい…して……すみま……せん」

なんだか声ががらがらだし、全身の関節が痛い。
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