腹黒王子の取扱説明書
せめて、弟が大学を卒業するまでは……私は今の生活を続けなくてはならない。

夢なんてみれないのよ。

わかっているでしょう?

そんな贅沢、私には許されない。

私は自分に言い聞かせる。

「どうした?すごく顔色悪いな。吐き気は?」

先生が私の顔を覗き込む。

「…吐き気は大丈夫です。でも、頭痛が酷いかも……」

私は苦笑する。

「ゼリーは全部飲めた?」

「はい」

「じゃあ、この薬飲んで」

私は先生に渡された錠剤を飲み込む。

タイミングよく先生がペットボトルに入った水を渡してくれて、私は薬を流し込んだ。

熱で具合が悪いから変な事考えちゃんだ。

「すみません。まだ……起きてると辛いので横になります」

私はベッドに横になって目をつむる。

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