腹黒王子の取扱説明書
「どうかな?想像に任せるよ」

中山麗奈を抱上げながら須崎と一緒に医務室を出ると、こいつは楽しそうに目を輝かせながら俺に聞いてきた。

「もうお手つきなのか?」

「野暮な事聞くんじゃないよ」

実際には何もなかったが、こいつに事の次第をいちいち説明する気はない。

「マジで手出したのか?」

須崎が興奮して大声を出す。

「馬鹿。そんな大声出したら彼女が起きる」

「あっ……」

須崎がもう遅いのに慌てて口を手で押さえる。

ほんと、馬鹿。

地下の駐車場に着くと、中山麗奈を車の後部座席に乗せ俺の膝の上に彼女の頭を乗せた。

須崎が運転席に座ると、行き先を告げる。
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