腹黒王子の取扱説明書
「白山のうちの社員寮まで」

「了解」

須崎が車を発進させると、三十分程で社員寮についた。

寮と言ってもうちの会社がマンションを借り上げているので、普通のマンション暮らしと変わらない。

「寮に着いたよ。数日分の着替えを用意して」

俺は眠ってる彼女の耳元で声をかけて起こす。

「……寮?」

中山麗奈が苦しそうに目を開ける。

彼女と目が合うと、彼女は目を丸くした。

「……専務‼」

よほど驚いたのか、中山麗奈が慌てて上体を起こす。

「おはよう」

俺が悠然と微笑むと、彼女は身体を強ばらせた。

……今朝のでかなり嫌われたか。

俺が苦笑すると、彼女は独り言のように呟いた。

「……何で専務の膝で寝てるの?」
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