腹黒王子の取扱説明書
「医務室で寝てたから、そのまま寝かせていたんだよ」

「……すみません。わざわざ送って頂いてありがとうございます」

中山麗奈が俺から目を逸らしながら礼を言う。

……一刻も早く俺から離れたいのだろう。

そういう態度になられると、相手が病人でも意地悪したくなる。

「送ったわけじゃない。君の着替えを取りにきたんだ」

俺は口角を上げる。

「着替え……?でも……私は大丈夫です」

「大丈夫かどうかは僕が判断するよ。須崎、ここで待ってて」

「ヘイヘイ」

須崎が俺を見ながらニヤついているが、俺は無視した。

「早く下りるよ」

中山麗奈を車から下ろし、また彼女を抱上げようとすると、彼女は頭を振った。

「自分で歩けますから」
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