腹黒王子の取扱説明書
「そう?でも、僕はついていくよ」

俺は不敵の笑みを浮かべながら、彼女の前で彼女のバックを掲げて見せる。

意地っ張りな女。

素直に言うことをきいてれば楽なのに。

二人でマンションの中に入ると、突き当たりにあるエレベーターに乗った。

中山麗奈が五階のボタンを押す。

肩で息をしているし、身体もふらふらしてかなり辛そうなのに彼女が俺に頼る様子はない。

エレベーターの中では、彼女はずっと無言だった。

エレベーターを下りると、五〇五号室の前で立ち止まった。

「一人で歩けるし、もう大丈夫です。送って頂いてありがとうございました。そのバッグ、返してもらえませんか?」

「言ったよね。大丈夫かどうかは僕が判断するよ」

俺がバッグを彼女に手渡すと、彼女はバッグの中に手を入れ手探りで鍵を探す。
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