腹黒王子の取扱説明書
8、とらわれの身 ー 麗奈side
カタカタ、カタカタ。カタカタ、カタカタ。

何だろう、この音?

パソコンのキーボードを叩く音?

でも、誰が?

ゆっくり目を開けると、そこには彼がいた。

「……専務」

自分の家に帰ったかと思ってたのに、私はまた専務の家に運ばれたの?

「俺が悪かった。ごめん」そんな声が聞こえたような気がしたけど、気のせいだろうか。

……記憶が途切れ途切れでわからない。

私の事なんか放っておいてくれた方がいいのに……。

「起きた?」

ベッドの端に腰掛けながらノートパソコンで仕事をしていた専務は、ノートパソコンを閉じてベッドから立ち上がる。

「熱は?」

専務はサイドテーブルにノートパソコンを置くと、私に近づいて私の額に自分の額をくっつけた。
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