また、君を笑わせよう
そう思うとなんだか複雑な気分になる。



黙って撫でられていたら、ある事に気づいた。



「俺のことより、お前が怪我してるじやん!」



さっき痛いと怒鳴っていたのは、目の下の傷のせいだろう。



「こんなもの、ただのかすり傷だよ。」



「かすり傷でもなんでも怪我は怪我だろ?それに痛いって言ってたし…」



「それはガキだのどうのこうの言ったあいつにむかついて、ちょっと威嚇しただけだよ。そんなに痛くない。だからもう不安そうな顔すんな。」



「….うん、わかった。」



しぶしぶ頷くと、撫でていた手が止まった。
< 29 / 130 >

この作品をシェア

pagetop