モテすぎる先輩の溺甘♡注意報


すると、ひーくんの手が近づいてきて……そっと頬に触れた。


心臓の鼓動が早くなる。

ドキドキしてる。


あぁ……あたし、やっぱりひーくんのこと……。



真っ直ぐな目であたしを見てくるから目を逸らすことができなくて、2人の距離が縮まることはわかっていてもどうしようもなかった。


頭の中は真っ白。

目の前にはひーくんの整った顔があった。



「……っ」



柔らかい感触。

少しの間だけ、唇が触れた。



すぐに離れていったけど、感触だけは残っていた。



そのあとのことは……正直あまり覚えていない。


葉月たちはあたしの初恋の人が“ひーくん”って知っているからあたしが「ひーくん」と口にした時点で、空気を読んで先に教室に戻っていてくれたらしい。



あたしはというと、たぶんキスされたあと、なにも言わずにその場を立ち去った……んだと思う。


あまりのできごとに記憶が飛んじゃったらしい。

だってだって、キスだよ⁈!

しかも初めてのキス‼︎


高校に入学して半月が経ち、そろそろ高校生らしく遊びや恋愛をたくさんする気満々ではあったけれど。



まさか初恋の、しかも感動の再会をしてたった数分でキスなんて……あたしの高校生活どうなっちゃうんだろう。

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