モテすぎる先輩の溺甘♡注意報
金曜日は1週間の中でなんだか特別に感じる。
休みが始まる前日だからか、とてもワクワクする。
赤点を貰ってても忘れてしまうほど気分は良い。
鼻歌を歌いながら下駄箱に向かうとタイミング良く元希に会い、そこでお祭りのことを思い出した。
お祭りは土日の2日間で行われる。
元希たちと一緒に行くのは土曜日に決まり、ついにその日は明日。
メンバーは元希、太陽くん、あたし、日菜子、愛ちゃんの5人。
夕方の3時に駅前で待ち合わせをすることになった。
「なあ、お前って浴衣持ってる?」
「浴衣?持ってるけど……え、まさか着てこいってこと?」
「そういうこと。せっかくだから女の子の浴衣姿見たいなーって。あ、ももたろーのは別に見たくねぇよ?」
意地の悪い顔をした元希の脛(すね)を手加減せずに蹴ると、元希は痛そうに顔を歪ませて脛を優しく押さえた。
あたしと元希の関係は異性の友達というより男友達に近い。
お互いに異性に見ていないし、何でも話せてどんな部分でも見せれる関係。
変に気を使わなくていいから一緒にいて楽。