モテすぎる先輩の溺甘♡注意報
「俺が桃ちゃんのこと好きなだけだよ」
太陽くんは、はっきりとそう言ってのけた。
た、太陽くん……?!
今、なんて……?!
再び辺りからは悲鳴が聞こえて、ざわつきは一層強くなった。
この騒ぎに気付いたのか、「お前ら何の騒ぎだ!」と先生たちが近付いてきたのを見てか、
太陽くんはまたあたしの右手首を掴むとそのまま引っ張って体育館の出口に向かって走り出した。
なんとか無事に抜け出すことに成功?したあたしと太陽くん。
久しぶりに全力疾走したあたしは息が上がっちゃって、しばらくゼーゼー言ってた。
それと反対に太陽くんは走ったというのにも関わらず一切息の乱れはなく、いつになくイケメンで爽やかだった。
それより、どんなに息が荒くてきつくても、どうしても気になってしまう。
「あんな……みんなの前で言っちゃって、よかったの?」
「ん?」
「いや、その、あたしのことを好きだって……」
「あー……うん、だって、本当のことだし」
上履きを履いたまま外の体育館裏まで逃げ出してきたあたしたち。
体育館からみんなの声が聞こえるけど、ここはあたしたち以外誰もいなくて静かだ。
太陽くんはときどき大胆になる。
普段は優しくて恥ずかしがり屋なのに、何かスイッチが入ると人が変わったみたいに男らしくなる。
付き合ったら、きっと幸せにしてくれるんだろう。