モテすぎる先輩の溺甘♡注意報
勝手に聞いて勝手に傷ついて、バカみたい。
せっかくひーくんの部屋に来てさっきまでいいムードだったのに、まだ心の準備ができてないからってムードを自分で壊して……。
「確かに入れたことはあるけど、」
1人で考え込んでいるあたしにひーくんはそう言って、再びあたしを抱きしめる腕に力を込めた。
「“好きな子”で入れるのは、桃が初めてだよ」
「………」
「あれ?無反応?好きになったのも桃が初めてなんだけど……それだけじゃだめ?」
「ずるい」
「………」
「ずるいずるいずるい!そんなの、それだけじゃないよ!嬉しいよ!にやけてるもん。あたしだってひーくんが初めてだよ。こんなにヤキモチ妬くのだってめんどくさくなるのだって、ひーくんのことが……大好きだからだもん」
本当にこの人はずるいと思う。
あたしの気持ちがどんなに落ちてても、簡単に上げてみせる。
それも、ただ上げるだけじゃなくて、幸せな気持ちにまでしてくれる。
言うまでもなく顔が真っ赤になったあたしに、ひーくんはニヤリと妖しい表情を浮かべて………キスの嵐を浴びせたのだった。