モテすぎる先輩の溺甘♡注意報
その言葉に最初は否定していた英二くんだったけど、最終的に観念して本当のことを話すと言った。
………やっぱり。
あたしでも様子が違うなと思ったくらいだもん。
いつも一緒にいるひーくんなら気づいて当たり前だ。
それにしても、嘘ってなに?
なんだかいろいろひーくんは疑ってたみたいだけど、あたしにはさっきの様子がおかしいなと感じたくらいで、他の怪しい部分なんてまったく気づかなかった。
ここからはおとなしく黙って2人の会話を聞いてることにした。
まず話し始めたのは英二くんで、いつになく真剣な表情だった。
「まず、陽の言ってた通り、元々あいつらと一緒に周る約束なんかしてない。だから、桃ちゃんには嘘ついた。ごめん」
頭を下げられたので、思わず「大丈夫だから頭上げて!」と声が出てしまった。
「ありがとう。……で、コンテストに応募したのも、俺自身の本意じゃない」
「んなことわかってるよ。おまえがどんだけこういう行事が嫌いか1番知ってる。いいからこんな茶番やった理由を話せ」
英二くんは嘘をつくような人には見えない。
そんな人が、どうしてあたしに………ましてや、親友のひーくんにまで嘘をついたのか。
このあと理由を聞いて初めて………ときには、優しさで嘘をつくこともあるんだなと、あたしは思った。