モテすぎる先輩の溺甘♡注意報
「別に俺んちじゃなくてもいいだろ。誰か女友達の家に泊まらせてもらえ」
「友達に迷惑はかけられないもん……」
「俺とおまえは血は繋がって確かに兄妹だけど、もう家族じゃねぇだろうが。子どもじゃねんだから自分の問題は自分で解決しろ」
「うぅ……ひどい……っ。たった1人のお兄ちゃんだから、頼れる人他にいないからこうして学校に来てまでお願いしてるのに……っ」
絢さんの目から雫がこぼれた。
「ひーくん、あたしからもお願い」
「は?」
いてもたってもいられなくなったあたしはついに間に入った。
「家族のこととかストーカーのことで悩んだことがないから気持ちが全てわかるってわけじゃないけど、でも、こうしてひーくんしか助けてあげることができないんだったら、お兄ちゃんとして力を貸してあげてほしい」
最初は敵意むき出しで、このまま蛇のように巻き疲れて殺されちゃうんじゃないの?って心配になってた。
けど、話を聞いてみれば、たった1人のお兄ちゃんを取られちゃうと思っていたのかもしれない………と広い心を持つことができた。
お母さんは男の元へ出かけたっきり帰ってこなくて、頼れる親戚もいなくて、そんな中ストーカー被害に遭ってて………あたしだったら真っ先に家族に相談するけど、絢さんにはその家族がいない。
頼れる人が周りに誰もいないってどれだけ辛く悲しいだろう。
想像しただけで胸が締め付けられるのだから、実際に味わっている絢さんは相当苦しい思いをしてきたに違いない。