モテすぎる先輩の溺甘♡注意報
電話から漏れる絢さんの声が少し聞こえた。
元気な声ではっきり「明日からよろしくお願いします!」と。
電話が終わったひーくんは携帯をズボンのポケットにしまい、ゆっくりとあたしの目を見た。
「あいつ明日来ることになったから」
吐き捨てるようにそう言って立ち上がる。
こんなに冷たい声初めて聞いたかもしれない。
ひーくんは付き合ってから基本あたしに怒らないから、喧嘩をしてもいつもあたしがギャーギャー怒って、それを上手く丸め込む役目がひーくん。
気づいたら仲直りして、チューして抱き合って……って流れになるから、喧嘩というよりあたしの一方的な愚痴をひーくんが聞いて一瞬で終わらせてその場で即終了してしまう。
どうやら今回は違うらしい。
わざわざ絢さんが明日来ることを報告してきたのは、あたしが泊まることを止めるんじゃないかと試してるから?
今のひーくんがなにを考えているのかさっぱり不明だから、なんて返したら正解なのかまったくわからない。