モテすぎる先輩の溺甘♡注意報
恋する乙女よ強くあれ
文化祭1日目が終わり、いつものようにひーくんは家まで送ってくれた。
けど、違っていたのはバイバイのキスがなかったこと。
ひーくんが怒っている理由はなんとなくわかっていた。
あたしはひーくんの話を聞こうともせず、あたかも自分の意見が100%正しいかのようにひーくんへと押し付けた。
絢さんの家庭事情やストーカーの話を聞いていくうちに自分だったら……と勝手に感情移入していたんだと思う。
同じ女として他人事とは思えず、本当に余計なお世話だけど、絢さんに同情した。
今思えばひーくんの方が絢さんといる時間が長く、絢さんのことに関しては圧倒的に知っているはずなのに、そのときのあたしは〝妹なのにどうして助けてあげないの?〟という気持ちが大きすぎて、ひーくんの意見を受け入れようとしなかった。
こんな自分勝手な女になら嫌気もさす。
〝後の祭り〟とはこのことで、今さらひーくんになにを言えばいいのかまったくわからない。