モテすぎる先輩の溺甘♡注意報
「はっ……、あんたってほんとに平和な世界で生きてきたんだね」
この場所に来てからずっと黙っていた絢さんは急に顔を上げ、昨日と同じようにあたしを鋭く睨んだ。
「当たり前のように家に帰れば両親がいて、さぞかし家族に愛されて生きてきたんでしょうね」
「………」
「あたしね、そういう……苦労も知らずに生きてきたやつが1番嫌いなの」
「………」
「しかもそんなのが陽の彼女?今まで彼女っていう特別な存在を作らなかった陽が彼女を作ったなんて……信じたくなかった」
「………」
「陽にあなたはふさわしくない。そう思ったから別れさせようとした。ほら、英二から嫌がらせされるかもって聞いたでしょ?あれあたしだから。この2人使ってあなたのこと傷つけてやろうと思ってたの」
絢さんの話すことが冗談であってほしいと思った。
でも、冗談で話してるんじゃないこともわかっていた。