モテすぎる先輩の溺甘♡注意報
確かに放っておけないのは事実。
血は繋がってない。
今はもう家族でもない。
それでも、1つ屋根の下で暮らしてきた時間があるからこそ多少の情はある。
「桃ちゃんたち今ごろどうしてるんだろうねぇ?」
「いいから黙って歩け」
「あっ、トイレ行きたい!ちょっと寄ってくる!」
絢はそう言ってすぐ近くにあった女子トイレへと消えていった。
〝桃〟という単語を聞いてため息が出る。
桃は……悪くねぇのに。
俺が勝手に嫉妬して、出た怒りをぶつけた。
それは……英二にも同じだ。
正直、裏切られたと思っていない。
絢のことでも嫌がらせのことでも、とにかく話してくれなかったことに腹が立った。
気持ちを抑えきれなかった。
……あぁ、もしかして俺って恋愛も初心者だけど、友達との付き合いも初心者なのか?
どこまでもダメ人間で自分でも呆れる。