モテすぎる先輩の溺甘♡注意報
「……どうしよう」
さっきまで俺に好意を寄せてる素振りをしてたのが嘘のように、絢は今、眉ピ男しか見えていないらしい。
「どうした?」
優しく問いかける眉ピ男に「不覚にもあんたにドキドキしてる……どうしよう」と、柄にもなく恋する乙女が言うようなセリフを吐きやがる。
「これでわかっただろ。もう2度と俺の人生の邪魔すんなよ」
「うん、もうしない。……今まで、本当にごめんなさい。英二のこともね、あたしが誘導して……」
「知ってるからもういいよ。これからはおまえなりに幸せな人生歩け」
「……うん。陽も、幸せになってね」
もっと早くこうしていれば、俺も絢もそれぞれ前を向いて歩けていたのかもしれない。
先に歩き始めた絢の背中を見て、素直に幸せになってほしいと思った。