モテすぎる先輩の溺甘♡注意報
女の子たちには小声でキャーキャー言われ、それにまんざらでもない顔をするひーくん。
男の子たちの中にはたまにお辞儀する人や挨拶する人もいて、やっぱり相当な有名人なんだなと改めて感じる。
あたしが近づくと手で〝こっちへ来い〟と合図され、その言葉に自然と体は動き……傘を急いでたたんでひーくんの胸に飛び込んだ。
その瞬間片腕でギュッと引き寄せられ強く抱きしめられる形になった。
そのまま車の方へと歩き出したから傘からもひーくんの腕の中からもはみ出さないようにとりあえずくっついて歩いた。
「よりによってなんで今日が初雪なんだよ、ほんとついてねぇ」
「もともと今日はこうして迎えに来てくれるつもりだったの?」
「あぁ。今日納車したんだよ。って言っても親父が買ってくれたんだけどな」
「ええ⁈お父さんが買ってくれたの⁈じゃあ、車運転するの今日が初めて⁈」
「んなわけねぇだろ。ちょこちょこ親父とか友達の車運転してた」
お父さんが買ってくれた車は全体的に車高が低く、車の形は後からひーくんに聞いた話だとセダンというらしい。
車内はすでに暖房で温められていたので入った瞬間生き返った感覚を味わい、結局あたしは助席に日菜子は後部座席に座った。