モテすぎる先輩の溺甘♡注意報
「葉月!」
予行練習の時に確認した位置につくと、近くにある一般の応援席から見覚えのある男の子がそう叫んでいた。
コタローくんだ。
葉月の顔は一気に明るくなり、コタローくんに向かって思いっきり手を振った。
「頑張れよー!」
「コタローのために頑張るねー!」
こうやってイチャイチャされると、隣にいるあたしがニヤけてしまう。
程々で2人のイチャイチャを止めたところで、ちょうどスターターピストルが鳴り第1走目が走り出した。
200メートルのトラックを4分割して、3番目までは50メートルを走るんだけどアンカーだけは倍の100メートルを走ることになっている。
つまり、あたしと葉月は100メートルを走らなければならない。
葉月が目立ちたいがためにアンカーになった結果がこうだ。
早く走るというより、いかに転ばないかの方があたしは心配。