モテすぎる先輩の溺甘♡注意報


柔らかい印象の緩くパーマがかかっている茶色の髪。

ブレザーの下のワイシャツはちゃんと第二ボタンまで留めているけどネクタイはなく、左腕からはチラッと時計が見えた。



あたしが覚えているひーくんの面影は……ないわけじゃない。

じゃなきゃこんなにすぐ気づくわけない。



「やっと気づいてくれた」



見上げながら笑うひーくんは昔と変わらずかっこよくて、

なにより色素の薄い茶色の瞳が……大好きだった。



「久しぶり……だね」

「俺が引っ越して以来か」

「そうだね」



最後に会ったのはあたしが中学1年生で、ひーくんが中学3年生のとき。



ひーくんが引っ越す前日のことだった。

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