モテすぎる先輩の溺甘♡注意報
口を開こうとした。けどやめた。
せっかく突き放せたんだ。
今話してしまったら、また振り出しに戻ってしまう。
……ひーくんも、口を開くことはなかった。
すぐに視線を他に向け、あたしなんか目に入ってなかったかのように横をゆっくりと通り先へ行ってしまった。
いつだって、あたしが負ける。
突き放したはずなのに、話したくなかった会いたくなかったはずなのに、いざこうして他人行儀にされると敗北感がすごくある。
ムカつくムカつくムカつく!
何であたしばっかりこんな思いしなきゃいけないわけ?
別に好きになりたくて好きになったわけじゃないのに!
次第にあと少しで地団駄を踏みそうなくらいイライラしてきたところで………タイミング良く元希と太陽くんが帰ってきた。
「率直に言う。太陽がお前と友達になりたいらしい」
そして帰ってきて早々、そんなことを言われた。