記憶堂書店
「龍臣君、どうしよう! あずみさんには俺たちの声も姿も見えていないんだよ。違う人が見えているみたいだ」
後ろから修也に言われ、龍臣も同意を込めて頷く。
しかし、あずみから発せられるエネルギーがすさまじく、龍臣達は圧倒されるばかりだ。
店の外に目を向けるが、通行人はこちらの様子に気が付いていない。
つまりは外からは何も変わりないように見えているのかもしれなかった。ということは、外部からの助けは求められない。
どうしたらいい?
そう思うが、とりあえずあずみを落ち着かせなければならない。
龍臣は押される体を無理やり動かして、少しでもあずみに近寄ろうとした。
あずみの悲痛なエネルギーに腕や身体がビリビリとしびれる感じを受けながら、必死に手を伸ばした。
そして、やっとあずみの腕に触れた。
その瞬間。
触れたところから眩い光が発せられ、辺り一面、明るい光に包まれたのだ。龍臣は一気に視界が奪われ、たまらず目を強く閉じた。