記憶堂書店
一度、記憶堂へ寄ってから、店を閉めて学校へ向かう予定だった。
「だって、依頼してた歴史の先生は俺の担任だし」
「ほほう。じゃぁ、その先生からお前の授業態度もろもろ聞けるってことか」
着いてくる気満々の修也に龍臣がにやりとすると、逆に悪い笑みを修也が浮かべた。
「その担任が、今日は急きょ休みになったから代わりに俺が校内を案内する役割を得た」
「……生徒に任せるなんて」
龍臣が少し呆れるが、実際歴史の先生が居たところでお金はすでに学校名義で前払いで受け取っているし、実際は図書室までの案内しか必要ない。
後は図書室司書に任されているはずだ。だから、正直案内なんて誰でも良かった。
だから朝から家にいたのか。まぁ、修也なら気を遣わずに済むしまあいいかと諦める。
修也は近隣の私立高校に通っている。
第一希望は公立高校だったが、学力が足りずに私立高校に変更した。それもあって、大学進学を渋っているのだろうと龍臣は予想している。