記憶堂書店
あからさまに二人は目線をさまよわせている。
不自然すぎて、正解だと言っているようにしか思えなかった。カマをかけたつもりだったが、当たっていたようだ。
「やっぱりな」
修也が放課後、図書室に通うとは思えない。それなのに司書である加賀先生とどこか親し気な雰囲気があるのは、そういうことなのだと気が付いてしまったのだ。
授業をここでさぼっている間に親しくなったのだろう。
不登校やいじめにあっている生徒が保健室や図書室に通うのは聞いたことがあるし、そういった事例には容認して良いと思うが、修也の場合はただのさぼりだ。
そこはちゃんと授業に出るよう、諭してほしい所ではある。
「加賀先生、こいつを甘やかせては駄目ですよ」
呆れてため息をつくと加賀先生は気まずそうに俯いた。
「はい……、すみません」
「違うんだ、俺が勝手にさぼっているだけで。ごめんなさい、先生」
指摘されてシュンとしながら、あっさりと認めた加賀先生を修也は慌てて庇い、謝った。