俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
「もしもし?」

「あ、ケータです。」

「ああ〜どうしたの?」

「あのさ、兄貴から連絡ってある?」

「うううん。無い。」

「ふうっ。何やってんだアイツは!」

「家にも無いの?」

「母親が気ィ揉んでるよ。」

「でもほら、紺野も一緒だし!便りの無いのが無事な知らせって言うし!」

「…琴乃さんって強いよね。見かけによらずさぁ。」

「そっかな?」

「って言うか、本当に兄貴のこと好きなの?」

「へ?」

「俺の彼女、あ、元カノなんか、高校が違うってだけで大騒ぎ!学校に迎えにまで来たことあって…」

「別れちゃったの?」

「はい。やっぱ高校は中学とは違うっすね!」

「だしょ!」

「でも俺、頑張ったと思いません?進級ですよ!」

「当たり前でしょ!」

「だって、言わせてもらうけど琴乃さん、俺、人生で、こんなに泳いだの、初めてっすよ!それで赤点も、遅刻も無しっすよ!バイトだってしてんのに!」

「バイト?なんで?」

「やりたいことあって。…ホラ!ちょっとこれは、何かご褒美でも…。」

「えー、なにを?」

「んー。例えば…デートとか!」

「はぁ?」

「俺、給料入ったし!それに、最近してないでしょ?デート。」

「まあ…ねぇ。」

「俺も。…デートって言っても、散歩みたいなのっすよ!どうっすか?」

「…じゃあ、行きたいとこがあるんだけど…良いかな?」
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