俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
琴乃がトイレに行ってるあいだ、
慶太の目に、ある一組のカップルが入ってきた。


それは、自分と同年ぐらいの男女で…

カップルなんて、他にもたくさん居たにもかかわらず、何故か、そのふたりが気になった。


その二人は、一方が、興味を持つ生物に目をとられて、距離ができてしまっていても、構わず、それぞれ別々に閲覧している。


はじめは、ただの友達なのかと思ったが、
一面を見終わった男が、彼女のそばに戻って行くと、
何も言わずに手を繋いだ。

でも、そのまま魚を目で追い続け、指を差しては、なんだか話をしている。


「“この魚あっちにもいるぜ”
“えー、ホント?”
“こっち、こっち。ほらな”
“ホントだぁ、美味しそう”
“食うのかよ!”って感じ?」

その二人の行動に、勝手な台詞をつけていると

「何?ひとりごと?」

戻ってきた琴乃が、気味悪そうに尋ねた。


「あは、なんでもナイ。ラップラップ」

「そうは聞こえなかったけど。」

「…ねぇ、俺たちって、どう見られてるのかな?」

「えへ?」

「まさか、兄貴の女とは思われてないじゃん?」

「義姉弟ってこと?」

「うわっ。なんか変な響きだなぁソレ!」

「家庭教師とその生徒とか!受験合格のご褒美に」

「悪いけど、琴乃さんが大学生に見えてるかな?背低いし。」

「背は関係ないでしょ!現に今、あたし、女子大生だから!」
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