俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
バイトで貯めたお金は
サーフボードを買うためのものらしいが、
部活との両立で、お気に入りのボードが手に入るのも、当分先になりそうだ。


サーフショップでバイトをはじめたきっかけは、
友達に連れられ、サーフィンのことやボードのことを教えてもらっているうちに、
店のオーナーと親しくなり、
留守番さえできればと言うことで、雇ってもらえることとなったとか。


オーナーは、隣のカフェと、他にも仕事をしていて、留守にすることが多く、
ベテランの店員が、ほとんど店をまわしている。


まだサーフィンのことなど、よく分かっていない慶太が雇ってもらえたのは、
その人なつっこさが気に入られたのだろう。

店のためのバイトなのか…
バイトのための店なのか…???


バイト先の仲間に付いて行き、まだサーフィンも数回しかやれていないのに、
もう、すっかりサーファー気取りで、サーフショップに出入りしている。


そんなある日、
店の前で友達と立ち話をしていると、
道の反対側を歩くカップルに、目をとられる慶太。


「どうかしたか?」

「え、あ、いやぁ。あの二人、知ってたから。」

「へ〜。誰なの?」

「知らない。」

「はぁ?」

「この前、水族館で見ただけだから。」

「全然知らねーんじゃん!」

「あれって、幾つくらいだと思う?」

「ん〜。高校1年?…3年ではないな!なんで?」

「な〜んか…イイんだよなぁ、あの二人。」

「……そうかぁ?」

「うん」
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