俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
しばらくして、駿祐は帰国した。


自信をつけたようにも、何かを吹っ切れた様にもみえた駿祐は、
コーチの反対を押し切って、競技大会への出場を試みた。


結果は、すべて予選落ち。

当然、代表の選考になど、名前があがるはずはない。


駿祐を知るものは、
“今年は仕方がない”と慰め、
また次回に期待をしつつ、励まし讃えていた。

が、この時、既に何かを悟っていたかのように、

駿祐の決断は、まわりの皆を驚愕させた。


「大学を休学して!?」

なんと、アメリカへ渡ると言うのだ。

もちろん、駿祐本人が勝手に決めたことで、
両親は大反対だとか。


それもそうだ。
ただの海外旅行とは違うのだ。
休学届けまで出してしまったのだから。


しかし、駿祐のことだ、
きっと何か、しっかりした考えがあるからに違いない。


琴乃に、相談があると持ちかけてきた時には、
もう既に、そのことは決定事項としての報告だった。


帰りがいつ頃になるかなどは、今はまだ、はっきりはしていないらしいが、

駿祐の意志は、堅いのだから仕方がない。


でも、
琴乃は愕然としていた。


考えていた時点で…
せめて届けを出す前に、
どうして、一言、相談してもらえなかったのか。

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