俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
こっぴどく、駿祐に笑い飛ばされた紺野は
アパートに戻ると、慌てて、慶太にメールを送った。


大会を数日後に控え、気合いの入った慶太は、
夜中になって気付いたメールにもかかわらず、
その内容に、熱いものが込み上げ、そのまま、紺野に返信をしていた。


『兄貴の様子が目に浮かぶよ!あいつは何故か、いつも余裕なんだ。
紺野君の言う通り、俺は、琴乃さんが好きなんだと思う!心配でたまらない!
リサのことは言ってない。信頼を寄せている人が、女だなんて言えるかよ!』


遂に言ってしまった!!


そして、勢いに乗った慶太は
大会前日の、早めの練習終了後、
琴乃を呼び出した。


「とうとう明日だね!応援に行くからね!」

「明日は俺、琴乃さんに認めてもらう泳ぎを見せるから!」

「え?」

「そしたら…あんなヤツ、もう待つなよ!」

「…どうしたの?なにを」

「俺だって、小学校の時から琴乃さんのこと知ってたよ!まだ、人を好きになるってどんなことか知らない頃、兄貴の部屋の写真を見て…兄貴の様子を見て、つきあうってこーゆーものなんだって」

「あのね、兄を手本にするのはイイけど、相手まで同じじゃなくても」

「好きだ!!…大切にするよ!アイツなんかより、絶対に俺の方が」

「同情はやめてね!そんなの余計に」

「違う!祭りの時、俺は居留守を手伝った!どんな理由があったか知らないけど、俺は、多分あの時…」

「そんなに前から同情されてたんだ!」

「同情なんかじゃないよ!あの時の浴衣姿に、ひと目惚れしたんだ!」
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