俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
「そんなことないですよ。」

「俺が二十歳の時なんか、もっとこう……なんて言っても仕方ないか!」

「クソ真面目な、つまらない男なんですよ…」

「あはは。なんかあったか?そのうち酒でも飲みに行こう!おまえらと肩並べて語り合える日がくるのを、楽しみにしてるんだ!」


後輩でもある弟を、水泳部に復帰させる口実だったにしても、

慶太がやる気になったとあらば、
やはり、気持ちが焦る駿祐だった。



慶太は、水泳部に戻ったことを琴乃には告げてはいなかった。


復帰の理由はどうあれ、
自分はフラレている身だし、
報告する権利などないと思うのが当前だろうか?…


駿祐とのやりとりなど、言うつもりも、言いたくもなかったし
他に、報告する口実やきっかけもなく、

誰かに伝えてもらうなど、そんな考えも浮かばない慶太は
琴乃が心配していることなど、想像もしていなかった。


とは言っても、
サーフィンに、あまり顔を出せなくなった、その事実を知る亜希から、
何となく聞かされ、知ることとなった琴乃は、
それはそれは安心していた。


「な〜に?そのホッとした顔はぁ!」

「えぇ?」

「あのね、琴乃は慶太の姉じゃないんだから!ま、この前までは近いものがあったけど、駿祐とも切れて、な〜んも関係なくなったって訳!いつまでも気に掛けてなくてもイイのでは?」

「そんなつもりは、」

「それとも気になるのかなぁ?ならしょうがないけどぉ!」

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