俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
「それは、俺に譲ったってこと?」

「違うよ。」

「そうかな?」

「今でも好きかどうかは別として、琴乃との未来なんて、とっくにケリをついてたんじゃないかな?」

「じゃあ、なんで?」

「昔から、あいつの原動力は琴乃だからさ!そして、おまえにしてもだ!」

「…」

「じゃあ逆に聞くけど、故障を知っても、おまえは競うつもりだったか?ベストを尽くせたかよ?!」

「それは…」

「譲ったんじゃない!むしろ、託されたんだよケータ!わかるか?おまえが賭けにノッた時点で、あいつは確信してたんじゃないか?」



適わないと思った。

慶太にとって、駿祐は、
昔も今も、これからも
越えることなど決して出来ない壁だった。


でも、
やっと掴むことのできた、その笑顔を
自ら手放すことなど、できるはずもない自分に
人が何と言おうが構わなかった。


「人間が小さいだ?…手放す方が馬鹿なんだ!」

そう自分に言い聞かせる慶太は、

駿祐のアクシデントについて、
琴乃に話すことはなかった。
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