俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
そんな話しを聞かせても
亜希は駿祐を認めなかった。

「なにソレ?わざわざ、お礼を催促してきたの?」

「報告してくれたんだってば。」

「同じことだよ!」

「そうかな?亜希ちゃんの偏見だと思うよ。」

「なら、琴乃ちゃんが信じるよう、あたし、寺岡情報集めてくるよ!どんだけ、嫌なヤツか…」

「あたしは、あの人、そんなに悪い人じゃないと思うんだよね…(て言うか、あたし、ああゆう人、嫌いじゃないかも!)」


気になりはじめてしまった人のことは、
他人に忠告されれば、
なおさら気になってしまうもの。


駿祐がとったと言う、心ない行為も、
自分がされたワケではないので、ピンとこなかった。


自然に解ければ、願いが叶うとされているミサンガ。

琴乃の場合、
その前に一度、自分で解くつもりで、手を加えていたこともあったせいか、

出逢いはあっても、
その先への進展はない。

でも、琴乃は、それで良かった。


水泳部に、いつ顔を出すか分からない駿祐を、
今か今かと、待つのが楽しかったし、

駿祐に指摘された、自分の泳ぎの欠点を、
次に会う日までに、改善しておこうと、

全身全霊で、
水泳部に足を運んだ。

動機は不純でも、
実際、タイムがあがった。


人を好きになっただけで
自分が向上していく。

そんな純粋な恋を知った琴乃は、

駿祐が、素敵な出逢いの相手だと、確信したのだ。
< 16 / 238 >

この作品をシェア

pagetop