俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
そればかりは、しょうがないことだと、
自分でも納得はしていても
やはり、
少し淋しかった…。


琴乃にとって、高校時代に、
それが足りなかったことで、
一番やってみたかったことだったからだ。



「かわい〜琴乃〜!」

こんなことを、唯一、話すことのできる人物である亜希は、
人の恋の進展を聞いて楽しんでいる。


さも自分の方が、数多く、
その分、経験も豊富と言わんばかりに、
恋愛のパターンを、分析するように話す癖には、
時折“カチン”とくる時がある。

が、最近では、

「でもさ、恋愛は、数より内容だよね。」

などと口にするようになり、

亜希の身にも何かがあったらしく、
それを、今の彼が教えてくれたというのなら、

“やっと、本当の恋にめぐり逢えたのでは?”

言えはしないが、そう思う琴乃の目に、
そんな亜希も可愛く映っていた。


それが、どうも面白く無いのは紺野だった。


最近では、海にも顔を出さない亜希のおかげで、
受験勉強も捗り
端からは一石二鳥にも見えた。


そんなある日、
紺野の、パーティ好きな海仲間が主催の
クリスマスイベントに
慶太も誘われ、琴乃と一緒に参加することとなった。


もちろん、そこには紺野の姿もあり、
束の間の息抜きを、楽しんでいるようだった。

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