俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
「…なんか、色々かな。」

「何それ?」

「欲求不満!」

「あ、そ!」



パーティは、まだ続く中、
琴乃と慶太は、ひとあし先に退散した。


“嵐のあとの静けさ”の様な
二人が歩く道のりで、先に尋ねたのは慶太だった。


「さっき紺野君と、なに話してなの?」

「ん?亜希のことだよ」

「ふ〜ん。」

「なんで?」

「あー、なんとなく。」

「違くって!何でその時、話に入って来なかったのってこと!」

「大人の話題かなぁと思って。」

「…何言ってんの?」

「冗談だよ〜!マジにとらないでよ琴乃ちゃーん。」

「あたし、その手の冗談、嫌い!」

「ごめん。」


慶太は、繋いでいた手を、
さらに強く握ってみせた。


「今、ちょっと紺野君と気まずいんだぁ。」

「それって、」

「琴乃のせいじゃないよ!俺のせいだなぁ…」

「でも、」

「俺が兄貴から琴乃を奪っちゃったからさぁ〜」


そう言われて、
慶太の顔を見上げる、琴乃の視線に気付いた慶太は
立ち止まり、

「別に、紺野君と気まずくてもイイよ!琴乃と一緒にに居れんだもん!」と、

琴乃をギュッと抱きしめた。

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