俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
そんな弟、慶太の幸運気は、さておき、

ひたすら、泳ぎ込む駿祐は、

来年に向けて記録を残すため、
公式競泳競技大会を目前に、スパートをかけていた。


大会出場のブランクはあるものの、
素質も経験も十分にもっている駿祐は、
怪我からの完全克服と、ケアーさえできていれば、
最終まで残れる可能性はある。


とにかく今は、腐らず泳ぎ込む!
それしかないのだ。


あのクラス会で、皆が駿祐のことを変わったと感じていた様に、

駿祐は変わりつつあった。


ただガムシャラに泳いでいた、あの頃と違って、
年齢的にも精神的にも、
自分でも、人からも学びながら成長し、

雑念も取り払い、

なにかに追い込まれている様子もなく、

なにより、
自分のために泳いでいるのだ。


おかげで調子はあがり、
標準記録と同タイム以上のコンディションを常に保ち、挑むこととなった。


いざ、大会当日。
ここまで来たらやるしかない。


自分の出番まで気持ちを落ち着かせ、
まずは、第一予選。

緊張からか、ぎりぎりで通過。

まわりをヒヤリとさせた。


でも本人は、それで勘を取り戻したらしく、
それからは、順調にファイナルまで勝ち進んでいった。
< 175 / 238 >

この作品をシェア

pagetop