俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
亜希自身、慶太とは交流もあるし
年下のくせに信頼もおいていて、お気に入りで、
実際、可愛がってもいる。


それでも、
惚気ているワケでもないのに、
琴乃から慶太の話を聞かされたり

亜希の誘いを、慶太との都合で断られたりすると、

つい、はずみで、あの真相が口から出てしまいそうで、
そんな自分を押さえるのに苦労していた。


余計なことを口にして、
もし、二人がダメになったとしたら、
気まずくなるのは自分だ。


亜希の、白黒ハッキリしないと気が済まない、この性格で、
これまで、どれだけの人間関係トラブルを乗り越えてきたものか。


さすがに、学習はしている様だが
一言だけ、
琴乃にメールを送った。


『あんたの元彼、スゴいじゃん!ホレ直すかい?』


何も触れない方が、逆に不自然だと考えたからだ。


もちろん琴乃も、慶太から聞いて知っていた。


母校である、慶太の周りでも、駿祐の話題でもちきりらしい。


寺岡駿祐のプロフィールには、必ず卒業校の名前が記載されるため、
恥とならぬ様、
そして、負けてもいられまいと、
皆、一段と練習に力が入り、盛り上がっている。


その皆と同じように見えて、
実は、内心、誰よりも闘志に燃えている慶太だった。


そんな素振りを見せず、駿祐の話に付き合わされる慶太を
コーチは、少し気に掛けていた。
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