俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
亜希には、後悔していることが、一つだけあった。


はじめは、
親友が、悲しい思いをしないようにと、
親切でしていたコトが、

今となっては、
それが原因で、琴乃が落ち込んでいるのでは?と、
責任を感じているのだった。


「琴乃、今年のバレンタインは、チョコあげるの?」

亜希が尋ねると、

「あげるって、誰に?」

琴乃は誤魔化した。

「それは…ミサンガの相手?」

「…捨てられるもん。」

「やっぱり、気にしてるんだ。」

「なぁに?やめろって言ったのは亜希でしょ。」

「そうだけど…ここまできたら、いまさら、やめられないんでしょ?だったらこの際、告って、フラれて、吹っ切れば?」

「それでも吹っ切れなかったら?」

「気まずいね…」

「だったら、このままでイイや。」

「でもホラ、フラれるとは限らないしさぁ!」

「ホントにそう思う?」

「…自信はナイです。」

「あの人の頭の中には、水泳のことしかないんだよ、きっと…」

「…」

「応援できれば、それでイイんだぁ。」

「そう?」


頼まれれば、協力しなくもないのだが、

健気な、琴乃の気持ちを考えると、
あからさまな行動はとれない、と、考えた亜希は、

一人でも、ライバルを減らしてやろうと、

駿祐の悪口を
必死に、言いふらしたのだった。
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