俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
それは、相手がまだ高校生だと思うと、
年上の自分から、甘えることなどできずにいる、
その押さえ込んだ気持ちからなる妄想でしかない。


本当なら、自分から駆け寄って
ある一言を言ってみたくなる時がある。



「ごめん!俺、どんくらい海入ってた?」

「分かんない!でも亜希は、その間に、2回も戻って来たよ!」

「すみません。つい夢中になっちゃいました。」

「若いからね、しょうが」

「?なに?どうした?」

「うううん。見てて楽しかったから大丈夫!」


こうやって、ちょっとしたことにも、言葉を選び、気を使ってしまう琴乃。


「じゃあ、お詫びに、何か言うこと聞くよ!」

「えへへ〜?!」

「ホントに聞くって!おねだり、言ってみ!」

「…」

「…なんかあんだろ?してもらいたいこととか。」

「じゃあ〜」

「うん。どーぞ!」

「…キスとか?」

「!今?ここで?」

「うそうそ!じゃあ、」

「ヒューっ!いいよ!」


そう言った途端に慶太は
琴乃の服を濡らさぬよう、
少し離れた位置から顔を近づけ、
サーフボードを盾に隠して
そっと、唇を重ねるのだった。


「…しょっぱ〜い!」

「琴乃ちゃんが言ったんじゃん!キスしてって!」

「冗談だったのぉ!今度にするって言おうとしたのにぃ!」

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