俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
そして、バレンタインの翌日の朝、
亜希は、駿祐の家のそばに立っていた。


「何してんの、おまえ?」

学校へ向かおうとする駿祐は、
気味悪そうに言う。


「今年は、何個、チョコ捨てたの?」

「…それ、誰が言ってんの?皆から聞かれるんだけど。」

「多分、あたし…」

「あっそう。おかげで、貰わずに済んで、助かったよ。」

「あんたって、人の気も知らないで、よくもそんな…」

「しょうがねーだろ!食えねんだから。」

「…キライなの?」

「大好物。」

「?」

「太りやすいんだ。カロリー調整の自己管理は、選手の基本だから…食べだすと止まんねんだ、俺。」

「!そうだったんだ…」

「2月14日は、ある意味、極刑なんだよ。」

「あのさぁ…あたしの知ってる子が、あんたにチョコを渡すのを、怖がって、それで…」

「なんだよ。」

「なんでもない!やっぱ、あたしが言うことじゃないし!」

「それって…おまえといつも一緒にいるヤツか?」

「あ、そうだ!もうすぐ、その子の誕生日なんだけど、あたしのお小遣い、保ちそうもないんだよね。」

「だから?」

「えへへ…」

「なんだよ!」

「我ながら、イイコト思いついちゃたなぁ…」


2月20日。

琴乃の携帯電話の着信音が鳴り響いた。
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