俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
慶太との連絡がとれなかった琴乃は、
暇つぶしに街をウロウロしていた。


その時、

「よっ!」

駿祐が目の前に現われた。


「どうしたの?」

「昨日、実家に泊まったから。」

「ぷっ、実家なのに泊まるって、変な言い方!」

「て言うか、ケイからぁ…聞いてるワケないか。」

「でも、コレで分かった。メールが来なかった理由が。」

「ふっ。そうですか。」

「なんか、スゴい活躍ぶりだね!」

「まあ…まあな。」

「あたしと別れて正解って感じ!疫病神だから!」

「満面の笑みで言うなよ。」

「じゃないと、落ち込みそうだから…」

「だって俺、琴に、“あたしが居なきゃダメなのね”って勘違いさせないように頑張ったんだもん。」

「え?」

「だから今、俺がこうしてるのも、琴のお陰だ!」

「…」

「ホラ、これ以上、兄弟の仲、拗れたくないしさぁ〜。」


久しぶりに、まじまじと見るその顔は、
とても優しく微笑んでいた。


「ふん。そーですかぁ!」

だから琴乃も、あえて今更あやまらなかった。

すると、

「琴!ケイのこと…頼むな。」


突然、兄の顔でそう告げる、駿祐だった。
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