俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
もちろん慶太は、琴乃に関して、そんなつもりは全くなかった。

…の、はずだったが、

(もしかしたら、潜在意識の中で、琴乃のことを…)

と、自分に問いかけては
自信を無くしかけていた。



「おい!ケータ!」

「は、はい!」

「なにをボーっとしてるんだ!」

「あ、すみません!」

「いいな!おまえは第二泳者だ!」

「え?」

「村井のとこに横田が入るから、おまえは横田がいた二泳だ!」       
「ちょっ!待ってくださいよ!」

「なんだ?」

「なんで俺なんですか?他に適任は居るじゃないですか!」

「それもそれぞれ割り振ったよ!メドレーリレーの代役か、自由形での代役か、考慮したうえでの」

「それが俺じゃあ、村井に恨まれますよ!」

「怪我じゃしょうがないだろ。それに、このあいだのリレーのおまえの繋ぎ、アレ完璧だったじゃないか!その反射神経と瞬発力。文句ナシの泳ぎだった!」

「あれは、兄貴が相手だったから…」

「あれは、おまえの実力だ!それにおまえ、飛び込みは得意みたいだなぁ!いつでも誰よりも遠くに飛んでは、トップであがってくる。最近はタイムもあがって安定してるし!おまえが適任だよ!」

「でもオレ…」

「まだ少し練習はできるんだ!…練習しろ!兄貴だって必死にしてたぞぉ。」

「え?」

「オレすら話かけづらいほどだったよ。…努力は天才より勝るってやつか?」

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