俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
そして他の数日間は、サーフィンをしに、海に出ていた。


始めたのは同じくらいなのに
久しぶりに見た、菊地の波に乗る姿が、
やけにサマになっていることと、その成功率に
ジェラシーを感じた俺は、

ガムシャラになって波にむかい、必死になっているあいだは、
ただ波に乗ることだけを考えることができた。


でも、凪ぎて波も穏やかな時は、
水面でボードにまたがり、太陽の光に目を伏せがちに、ひたすら波待ちをしながら、
考えてしまうことが幾つかあった。


琴乃のこと、これからの二人のこと、
そして、兄貴の存在…


その時、
突然の大波に気付かず、不意を突かれた俺は、
水面に叩きつけられた次の瞬間、波にのまれていた。


「ぶはぁっ!」


むせ返りながら、ボードを引きづって浜にあがると、
さっきの波に乗っていたらしい菊地が、笑いながらやってきた。


「なぁにしてんのぉ?」

「しこたま飲んだ。やっぱしょっぺーや海水は。」

「うん、知ってる!そんな一気に欲張んなよ。こんなに水あんだから。」

「だな。温暖化とか言ってるから、ちょと心配しちゃって…ゴホッ!」

「…水ん中で余計な考え言は禁物なり〜!」

「気を付けまぁす。」

「海をナメたら恐いのだ!」

「…」

「そろそろあがるか?」

「ああ。…ちょっと俺、ショップ行ってから帰るわぁ。」
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