俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
「そーゆーコトだね!」

(おいおい!よりによって亜希ちゃんがソレを言うか?!ったく、女って奴は!)

そー思いながら、すましている二人の顔を、交互に見ていた。


「ヒュー!自由だぜぃ!淋しいぜぃ。」

「向うから切り出されちゃったんだぁ…別れ話。」

「“もっと、いろんなコト教えてもらえると思ったぁ”だってさぁ。」

「はーい、先生!いろんなコトってなんですか?」

「亜希ちゃん、そんなに僕のことが気になるのかい?」

「期待ハズレだったってコトね。まず、どこが大人に見えたのかがわからない。」

「いや〜ん!バレちゃったぁ!年上ぶって、気を使って合わせてたのが、逆に裏目にでたってことだよ。つまんないって言われちったもん。」

「あらら。」

「つーことで、年下は琴乃ちゃんに任せるよ!」

「…」

「…」

「あれ?どうしたの?ここは笑うところでは?」

「違うみたいだね。最近、冴えてないよ。失恋の痛手じゃない?」


もちろん冗談だって分かっていたが、
なぜか、笑うタイミングを逃した時、
琴乃も笑っていなかったことに、
そのまま、タイミングは逃げ去って、つかむことができなかった。


しばらくして、お開きとなり、
トイレから戻った俺は、
紺野くんの謝る声に、一歩退き、盗み聞きしていた。


「おまえらが気まずくなってるなんて、知らなかったよ。」

「そんなんじゃないんだけど…。」
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